「04 名前」
※ これはフィクション。私の話ではありません──4回目、覚えてくれたかな?
私の名前は
そんなふうに呼ばれてもなぁ。
実感がわかなかったんだ。
言われ慣れてないんだし。
「あい」って本当に私なの?
幼稚園の頃はよかったな。
「いち」って呼び捨てられたり、一号を略して「イチゴ」って呼ばれた。
イチゴは好きだな。可愛らしくて美味しくもあり、どうも少年漫画の主人公の名前らしく、カッコいい。
先生は「幸城さん」って呼んでた。
苗字にさん付けが園や小学校では基本らしい。
小学生になる頃には「ユキ」とか「ユキさん」って呼ばれていた。
かわいい女の子のような。
カッコイイ男の子のような。
そんな私……いや本当は僕の亡霊がいたのかもな。
でもね、「僕」って一人称は使ってはいけないと大人に言われた。
そして、言うべきではないと、だんだん理解した。
「僕」って喋る女の子は変な目で見られるんだ。おかしいって言われる。
ユキは色白で、顎のラインで切り揃えたサラサラの髪を靡かせて走る──
薄幸そうなんだか、元気なんだかよくわからない子だった。
ダンゴムシとかカマキリを見つけてはポケットにねじ込んで持ち歩く悪ガキだった。
おまけに、無口かと思ったら、お喋りなところもあってさ。
まぁ、自分で言うのもなんやけどな。
だいたいの人にめっちゃ嫌われたが、一部で異様にモテたんよね。
もし、私が僕ならそんな子にちょっかい出さないけどな。
あなたは、笑う?
それとも好きになるのかなぁ。
「──続く?」
「幸城愛のエッセイ」 kesuka_Yumeno @kesuka_Yumeno
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