「03 男の子」
※ これはフィクション。私の話ではありません──3回目、覚えてくれた?
私は7歳くらいまで、明確に僕だった気がする。
名前も今とは違った。
田舎の風習だか、家の因習だかで数え8歳になるまでは、男の子みたいな服を着せられた。
8つになるまでは、人間じゃない、霊的な何か、なんだそうだ。
だけど、男女関係なく髪は伸ばしっぱなし。
ひとつに括ったり、三つ編みされたり。
どうでもいいけど、暑くて、重たくて、なんだか嫌だった。
6歳の頃。耐えかねて
こっそり、前髪だけ試しに切ったら、ひどく怒鳴られた後、失望された。
……悪かったよ。ガタガタになったし、酷い記念写真も残ったし、言いつけは守るものだよね。
どうしてだろう。何かが詰まって息苦しかった。
確か、この頃は「いち」とか「一号」って呼ばれていた。私のこと「あい」とは呼ばない。人間になる前に真名で呼んだら、あの世へ連れて行かれるそうだ。
私は、いや、僕は阿保だったので、髪の長い男の子いちだった。8歳になるまでは。
はじめて、髪を切った時は嬉しかった。
軽くて、動きやすくて、最高だった。
首がよく回って、すぐに振り返れる。
振り返っても、髪が自分に当たらないから、痛くないんだ。
やっと、人間になれたんだ僕は。
だけど、その日から私は愛に成った。
僕はあの世に連れていかれた?
ちょっと、笑うところなのかな。
ふふ
……どう思う? これって、おかしいかな?
「──続く?」
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