嫣然と月の揺蕩う大海原。環流へと誘うもの。
- ★★★ Excellent!!!
友人からの誘いでオペレッタを観に行く
事になった主人公。歌劇は決して嫌いでは
なかったからと胸躍らせながら出掛けた
ものが…。
ソプラノを唄う少女の
まだ幼さを残しつつも神々しい歌声に
魂ごと魅了されてしまう。恰も一目惚れの
如くに忘れ難い出来心であるのに、余り
よくは覚えていない。
只、運命の糸は、繋がれたまま
いつしか二人で『落ち鮎』を目当てに
海辺の町へと出掛けるが。
私は男に成るのでしょうか、それとも
女に成るのでしょうか。
鮎か それとも鮭か、将又、鰻か。
それともエルベンの『ヴォドニーク』の
水妖の類だろうか。
白い砂浜の松原は、遠くチェコの森へと
変わる。マリアナ海溝の冷たい深層水が
長閑な浜の喫水に溢れては流れ出す。
迸る清流の記憶を、唄に乗せては
惑わせる
Měsíčku na nebi hlubokém,
světlo tvé daleko vidí.
月の光揺蕩う海に、清漣の 聲。