引き込まれていく

主人公はAという青年。
これは彼とヒロインの物語。

緻密な情景描写によって物語の世界を立ち上げ、機知に富んだ会話で私たちをその奥へと引き込んいく。

奥手な主人公は愛らしく、ミステリアスなヒロインの魅力は主人公を通して私たちさえも惹きつける。

二人の関係はどうなっていくのか?
思わずそう考えずにはいられない。

私たちが彼らの関係性に執心していると、一抹、不穏な影がよぎる。
その時、私たちはこの物語のジャンルが「ホラー」であったことを思い出す。

情景が転調して、変化していく様相の中、物語に漂う透徹した美しさは損なわれることはない。

そして、私たちは彼らの結末を見届ける。

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