衝撃的な、このタイトル。物語は、主人公の少女と両親が新居に越してきたところから始まります。新しい自分の部屋で起きることに対して、少女は特に何も怖がっていないように思えます。まるで受け入れているかのような少女の行動は読む側を不安にさせました。タイトルが本文のどこでどう使われているか、ぜひその目でたしかめてください。
本作には、押し入れが登場します。子供の頃に押し入れで遊んだ思い出がある人は多いのではないでしょうか?私もその一人。入ってると落ち着くんですよね。でも、襖を閉めることはできませんでした。落ち着く空間である押し入れが一転、怖い空間になってしまう気がして。当時何が怖かったのか、今となっては思い出せません。が、もしかしたら、本作のような状況に陥る可能性を幼いながら感じ取っていたのかも…?なんて思わされました。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(234文字)
新しい家への引っ越しは、心躍るもの。父も母も引っ越し屋さんに混じってバタバタしている。二階建ての新しい家。自分の部屋もあるけれど…。 そこで少女が見たものは。未来へと繋ぐ家というものに纏わる不可思議な譚。少女は押入れの木目の間に 不条理を見る。それは、明るく楽しい筈の引っ越しを途轍もなく不穏な呪縛へと変容させる。 だがしかし。彼女は淡々と、その事実を見つめている。それは不穏な予感であり、作者の作品の中に一貫して流れるテーマの一つが利発で賢しまな 顔 を覗かせている。 最後の数行に作者の 達観 を見る。
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