新しい家への引っ越しは、心躍るもの。
父も母も引っ越し屋さんに混じって
バタバタしている。二階建ての新しい家。
自分の部屋もあるけれど…。
そこで少女が見たものは。
未来へと繋ぐ家というものに纏わる
不可思議な譚。少女は押入れの木目の間に
不条理を見る。それは、明るく楽しい
筈の引っ越しを途轍もなく不穏な呪縛へと
変容させる。
だがしかし。
彼女は淡々と、その事実を見つめている。
それは不穏な予感であり、作者の作品の
中に一貫して流れるテーマの一つが
利発で賢しまな 顔 を覗かせている。
最後の数行に作者の 達観 を見る。