概要
同系のサイコロ同士が絡み苦しみ成熟する。嫌いなサイコロを赦せるか。
本作は、高校生が両親を相次いで失い架空の話し相手と数日の「孤独」を過ごすシーンからはじまる。電話で教師が発した孤児という響きで「俺」は境遇を自覚する。俺は行政の勧めで親代わり制度を利用する。そこで引き合わせられた人物がやきとり屋「二三舟」のマスター・中山であった。中山の店には、彼の助言を求めさまざまな客が来訪した。俺は、その助言に耳を傾け、人生を前向きに受け止めはじめた。中山は単なるマスターではなかった。静岡県出身の士族の末裔、有数の資産家、世界に孤児院を百カ所作るという夢を抱いていた。「この頃俺はできるだけ多くの時間を二三舟の手伝いに充てている。だが時給は貰わない。他に大事なことを貰いすぎているからだ。少しでも返したくてそうしている」という語りは、その後、中山が語る「中庸」や、鯛釣和尚の「
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