記憶の庭師

記憶障害専門の心理カウンセラー・真田凛太郎のもとに現れた美咲は、婚約者への愛の記憶だけを失っていた。医学では説明のつかない彼女の症状に向き合ううち、凛太郎は自分でも理解できない現象に遭遇する。美咲の口から漏れる見知らぬ記憶、そして彼だけが知るはずの言葉——「愛は与えることで増える」。
三年前、交通事故で最愛の妻を失った凛太郎は、耐えがたい痛みから愛の記憶を封印していた。だが美咲の治療を通して、記憶と愛の深い結びつき、そして愛が時を超えて受け継がれていく真実を知ることになる。
記憶は個人だけのものなのか。愛する人同士の間で共有される、もっと大きな何かなのか。美咲の中に宿る不思議な記憶の正体とは。そして、凛太郎が失った愛の行方とは——。
哲学的な問いかけと詩的な文章で綴られる、現代ファンタジー恋…続きを読む