第6話 知らない方がいいこと
「山本さん、なんで」「先生、病室に連れてって」ドアを開けると人だかりができていた。隙間からふとあの看護師が、血だまりの中にいることに気が付いた。どうやら大動脈を掻っ切ったらしい。
俺はその日逃げるように家に帰った。あれから警察が話を聞きに来ることは無かった。ただ、今も毎日玄関に訪問客が来る。そいつは鈴の音を鳴らしている。俺は開ければ楽になるのだろうかと最近思ってしまう。
あいつは何者なのだろうか。扉を開けてしまった今。俺はマンションの屋上に立っている。両耳を劈くような鈴の音が響いている。
最期にみんなに伝えられることは知らない方がいいこともある。ただそれだけだ。
しゃらん様 四季式部 @sikisikibu
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