“呪い”を“悟り”へ変える物語──見つめる勇気と愛のかたち

 煩悩を力に変えるという発想が、単なるギャグを超えて“人間の本質”に触れているのがすごいですね。視線という日常的な行為を「罪」から「理解」へと昇華させていく過程に、哲学と詩情を感じました。さくらの強さと揺らぎ、ユリの嫉妬と優しさもリアルで、三人の関係がただのラブコメに終わらない深みを持っています。

 吸血鬼との戦いで見えてくる“心の記憶”も、単なる敵ではなく、救いと赦しの物語として昇華されているのが素敵です。館長との師弟対決、そしてラストの《視ること=愛すること》というテーマの提示がとても印象的でした。

 第二部も、桐人たちがどんな“運命の歪み”に向き合っていくのか、楽しみにしています!

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