神仏は人とは別の理屈によって存在する。人の懸ける思いと関わりはない。
- ★★★ Excellent!!!
苔生した石仏らしき像を清めようとする子どもが旅の僧侶と出会う。
僧侶の言葉から幾ばくかの教えを受けた子ども。
その後に体験する大いなる出来事を描いた物語です。
作中で、石仏に入っていたのは恐らく地蔵菩薩ではありません。
もっと根源的な生命の現象。
蘚苔類や地衣類といった比較的単純な生命を生む原始の神の一部であったと思われます
人の崇敬も敬心も関わらない。
ただあるもの。
その一端にふれる、人の心の震え。
本作を読むものも、そんな神妙な世界を覗き見ることでしょう。
鮮烈なイメージに溢れた物語です。
ぜひ御一読ください。