夢の中でいつも見る階段。これまで足を踏み入れなかった処。ある時日々の暮らしの中で溜まった気鬱が、主人公をその階段を進ませた。そこから始まる物語です。昨今、見られないほどに整った短編です。四千文字数以内で前振りから落ちまで、きちんと物語の形式を踏まえて、主人公の性格まで窺わせる。確かな筆致で描き出された物語が、読む者を確かな恐怖に陥れます。端正なホラー短編です。御一読をお勧めします。