沙月への手紙

こんにちは。

お元気ですか? この手紙、ちゃんとあなたのところに届いていますように。

こうして言葉にするのはちょっとだけ恥ずかしいけれど……でも、今は、どうしても伝えたくて。


あなたと話すとき、よく「うるさい」とか「関係ない」とか言われちゃうけど、

それでも、私はあの時間がけっこう好きなんです。

ほんの少しだけ、あなたの言葉の奥に、ぬくもりを感じるときがあって。

それが、なんだかとても嬉しいから。


この前、帰り道のコンビニの前で、私が飲み物を選んでたとき。

あなたがさりげなく、私の好きなヨーグルトドリンクを先に取ってくれて、

「早くしろ、トロい」って言いながら、レジに持ってってくれたでしょう?


ああいうときのあなた、すごく優しいです。

まっすぐにじゃなくて、ちょっと意地悪に曲がってるけど、

でもちゃんと届くようにしてくれてる。あなたの優しさって、そんなふうに特別です。


私は、昔から少し鈍くて、言葉も遅れてしまうけれど、

それでも、あなたのことはちゃんと見てるつもりです。

怒った顔も、照れてるときの耳の先が赤くなるところも。

全部、かわいいなあって、思ってるんですよ。


きっとこの手紙を読んだあなたは、

「は? 意味わかんないし」って眉をひそめると思います。

でもそれも込みで、私はあなたのこと、好きです。


たまには、誰かに寄りかかってもいいんです。

全部を強がらなくても、言葉が足りなくても、

私は、あなたがあなたでいてくれることが、何より大切ですから。


だから、どうか。

自分のこと、少しだけ、許してあげてください。

誰よりも、あなた自身が。


……また、ドリンク選びで迷ってたら、今日もそっと背中を押しますね。

今度は、ちゃんと一緒に笑えますように。


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D.POST_OFFICE 青月 日日 @aotuki_hibi

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