数ある子供の遊びの中で、「かごめかごめ」や「鬼ごっこ」が、怪談ではよく題材となりますが、今作はそれとはまた違った「あぶくたった、にえたった」という遊びが題材となった短編ホラーとなっています。私もこの遊び自体は知っていたのですが、ホラーにしてみようという発想がありませんでした。なぜ、こんなにホラー向きの遊びを見逃していたのか…これを見逃さず、傑作ホラーに仕立て上げた作者様のセンスに脱帽です。そして、凄く怖いです…
夕暮れの公園。輪になって遊ぶ子どもたち。懐かしい、伝承遊びの風景。やがて、ひとりまたひとりと帰るお友達。夜が近いのです。こんな情緒をかき立てる風景から物語は始まります。そして────子どもの時間。子どもの場所。なぜか秘密めいて不穏な、そんな世界。あなたも覗いてみませんか?きっと、びっくりしますよ。とてもね。
私が演劇青年だった頃、「あーぶくたった、にえたった」というお芝居がありました。つい、思い出しました。別役実の戯曲で、何度もどこかの劇団で上演されました。ネットで調べると、2021年に上演記録がありました。元々は「わらべ歌」だったのですね。勉強になりました。今後ともどうかよろしくお願いいたします。
子どもの頃って、何も考えずに童謡歌って遊びますけど、意味をあらためて考えてみると、かなり残酷な意味合いのものがありますよね。この童謡、何を煮て食べているのでしょうか…。底知れないぞわぞわが襲ってきます。まさにあなたを取り囲むように…。
夕暮れが七つの影を象る。その輪に囚われた子供はもう逃げることはできない。あぶくたった、にえたった…きっとどこかで、また口ずさむ声が聞こえる。
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