第10話
私が小学生の時に住んでいた町には、そういう変なところがいっぱいありました。
あの屋敷は、そのひとつでした。
「だからさ、あの屋敷に冒険に行こうぜ」
そのTくんの提案通り、私とTくんは、学校帰りに、町の北のはずれにあった、その幽霊屋敷に「冒険」にいくことになりました。
しかし、運の悪いことに、その日は、地面がぬかるんでいました。そのため、その日、Tくんは、幽霊屋敷の前の、鉄の棘がたくさん生えた鉄柵の前で足を滑らせてしまったのです。鉄柵に倒れかかるように転んだTくんは、大怪我をしてしまいました。その後、Tくんは、学校を休みがちになり、翌年には、遠くの学校に転校してしまいました。
−−−
「あれ、永野先輩、小説なんて書いているんですか?」
後ろから、職場の後輩の高桑が私のノートパソコンを覗き込んでいいました。
「ああ、これかい。少し前から、カクヨムっていうサイトで、ホラー小説を書いているんだよ。」
今日は、高桑の快気祝いという名目で、職場の同じ課の仲間で飲む予定だったのですが、私は、少し早くついてしまったため、ノートパソコンを広げて小説を書きながら、他のメンバーを待っていたのでした。
「へえ。ちょっと読ませてくださいよ。。。」
読んでいた高桑が、ちょっと顔をしかめていいました。
「このTくんって、ちょっと可哀想じゃあないですか?」
「そう思うかい?こいつ、つい最近まで君と一緒に働いていたやつがモデルなんだよ。」
「へえ、誰だろう。」
高桑は首を傾げます。
「わかんないかな。まあ、忘れちゃったんだろうな。」
私が笑いながら答えます。
「ところで、先輩。先輩って、昔から、その派手な色のネクタイでしたっけ?」
高桑は、私の方を見て、聞きました。
「その黄色いネクタイ、なんか、最近までは見たことなかったような気がするんですよね。」
「気のせいだと思うよ。君が入社する前から、ずっと、この黄色のネクタイだよ。」
「そうでしたっけねぇ。」
−−−
やがて、高桑の快気祝いの会がおひらきになって、私は、まっすぐ、自宅に帰ります。
自宅のマンションの玄関のドアを開けると、妻と子供が迎えてくれます。
私には、きれいな妻と、可愛い娘がいます。
ホラー小説の登場人物 高田 ひで @hidetakata
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