飼いならされた自由、あなたもどうぞはみ出さないように。

自らを献身的に差し出す鳥たちを額縁の中に収め、その後で彼らの血肉を恵みとして享受する「きみ」。絵画と料理、もっとも自由だと考えられているそれらの活動が、実は誰かに計画されていたものだったとしたらどうだろうか? 与えられている色が異なっているだけで、あなたが創造したと思っているオンリーワンであるはずのそれは、本当はただの量産品に過ぎないのかもしれない。そんなはずはない、ともがくことができるあなたは果たして幸いなのか否か……気付いた時には、あなたの代りはすでに用意されているのだ。

本作品は一枚のイラストををテーマにして書かれたものであるが、ぜひ交互に見比べて頂きたい。異なる色で構成された複数の部屋と「きみ」の表情から、創作に対する冷徹で無慈悲な寓話すら感じさせる作者の力量にひたすら脱帽すること請け合いだ。

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