暗闇の中で手を引くのはあなた
- ★★★ Excellent!!!
目の見えない椿は業突く張りな叔母夫婦の画策により、神の花嫁として生贄として捧げられてしまう。
その神様がいるのは真っ暗な蔵。
人間なら誰しも畏れる暗闇も椿には慣れ親しんだもの。
その暗闇の中で、朧と名乗る異形と契約を交わしていきます。
閉じ込められ、光を奪われ、望みを捨てて生きてきた椿と朧。
同じ孤独を持つ二人の恋は、話し合うごとに、触れ合うごとに形作られていきます。
暗闇の中の一筋の光のような想いは熱量になり、死を受け入れていた椿の行動も徐々に変化していきます。
扉を開けて、光を取り戻す椿の心情変化が愛おしく。
また、ヒーローの朧は妖しい魅力にあふれていて色気たっぷり。
そんな朧との恋模様をどきどきしながら楽しめるのと同時に、ホラーが得意な作者様らしいぞくっとくる展開もいいスパイスに。
妖しくも美しい、暗闇から浮かび上がるような異類婚姻譚、おすすめです!