回る歯車、あふれる血だまり、切ない恋心。怖くて美しいループ百合ホラー!
- ★★★ Excellent!!!
高校二年生になったばかりの川相弥歌はある日4月13日がループしていることに気付きます。
親友の成花やオカルト部の先輩に相談してどうにか状況を抜け出そうともがいていきますが──
ループものというと、なにか衝撃的な事件がトリガーになって開始されることが多いですが、この物語の冒頭にそういうきっかけらしいきっかけがありません(怖い夢は出てきますけど…)
なので、主人公も読者もただただ崩壊していく世界に困惑と怖れを抱いてしまいます。
けれど、読み進めていくとこの物語にはなにか覆われた謎があって、それを解き明かすことは果たしていいことなのかという不穏感が節々ににじみ出てきます。
怖いけど、真実が気になる。まさにループホラーの良さが詰まっています。
そして、後半、その真実は明かされていくのですが……。
恐ろしいと思っていたものが愛おしく。
正常だったものが異常である。
ひっくり返るような結末。絶望的なエンドなのに、どこか救いもある。
ループホラーであるのと同時にやっぱり美しい百合ホラーだと思いました。
血だまりを抜けた先のほのかな恋心、ぜひ見届けてほしいです。
おすすめです!