山神様のツガイとして幼い頃から隔離されて暮らしてきた楪。
山神の銀花との出会いとふれあいを経て、自分自身の気持ちや銀花への想いを見つけていきます。
一方、穢れの穴で化け物に身体を蝕まれて生きてきた蛭子。
土地神の使いとして穢れの原因を探っていた鴉天狗の黒鴉に助け出されます。
白と黒。対照的な二つの恋。
けれども根幹の無垢さや純愛は同じに思えます。
特に穢れないよう幽閉されてきた楪と穢れにまみれて蝕まれてきた蛭子は境遇が真逆ながら同じような諦めを感じて生きてきました。
そんな二人の前に現れた銀花と黒鴉の存在がとても温かい。
好きだから、なかなか楪と触れ合うことができない銀花さまと
好きだから、ちょっかいをかけて反応をからかう黒鴉が可愛い。
じれったく、可愛く、ときにちょっとグロテスク(!?)
どこか諦めていた二人の〝生贄〟が出会いを経て、感情が芽吹いていく場面がとりわけ好きです。
幻想的で繊細な描写の和風BL異類婚姻譚。
二対の恋の行方をぜひ見守っていただきたいです!
僕は男であり恋愛対象はまあ女性。
そんな次第でBLやブロマンズは、まあ苦手です。
然しながら柚月様の描く世界観は嫌いじゃないし
何しろ仲良くして貰えてます。
コンテストに参加されているのだから、
なるべく読んで応援したいと思いました。
いやあ……"あてられました"
先ず第一章が艶やかで艶めかしい。
性別? どうでもよくなりました。
第二章、うっわ! ってなりました。
温度差半端ないんですが、
この世界観を説明する大切な要素。
そして相も変わらず、ひらがなと漢字の
使い分けが流麗。
流石、様々なジャンルに挑戦しつつも
BLを貫いただけの事はあります。
ひとつだけ、余計なお節介。個人的ですから
スルーして貰っていいです。
作品が充分魅力溢れてますから
タイトルの*(恐らく注意)
これ個人的には要らないです。
あ、でも『(^ω^ ≡ ^ω^)おっおっ今回跳ねるぞ?!』って期待感増すのかも。
コンテストの良い結果、期待しております。
【こんな方向け】
☑神様✕贄のじれじれ溺愛ラブストーリーが読みたい方
☑人と人ならざる者とのあわい――和の世界観に漂う陰翳を読み味わいたい方
☑切なく胸に迫る良質な和風BL幻想譚を読みたい方
【あらすじ】
十五年の幽閉を経て、山神の花嫁として山へと捧げられた少年・楪。
彼を迎えた神・銀花との出逢いが、閉ざされた楪の世界に光をもたらす。
だが、穢れを祓うための儀式は、やがて二人の絆や覚悟をも試すこととなり……。
一方、土地神・水月の命で穢れの原因を探る烏天狗・黒鴉。
彼は蛭の化け物に自らを食わせ続ける屍人・蛭子を見つけて連れ帰る。
黒鴉の判断は果たして、吉か、凶か。
白と黒。
二つの出逢いが交錯するとき。
――“想い”が運命の扉をそっと開く――。
全45話。贄と神との異類婚姻を描いた和風BL幻想譚です。
【おすすめポイント】
(1)切なくも優しい、未来への愛しみに溢れた物語
この物語は、十五年の幽閉を経、すれ違いや穢れを乗り越えて、楪が生きなおす物語であると同時に、蛭子が生きなおす物語でもあります。
苦しみの先にも、希望はある。
そんな、静かながらも沁み入るような幸福感をもたらしてくれる物語です。
(2)山神様と楪のじれじれな恋の行方
穢れに耐えながらも微笑む銀花。
一途に銀花を想いながらも、自分は与えられてばかりだと悩む楪。
相手を想うがゆえに踏み込めない――そんな焦燥の先に訪れる、心震える瞬間。一方でちょっと「にやっ」ともしてしまう笑 必見です。
(3)蛭子の可愛さ
蛭の化け物に食われ続ける屍人として現れる蛭子。
黒鴉に連れ出された後、楪たちとの交流を通して、少しずつ心を取り戻していきます。
――それは永い冬が終わり、雪の下から静かに流れ出す雪解け水のごとく。
不器用な優しさと可愛らしさが、物語の中に楪の純粋さとはまた異なる温もりを感じさせます。
敢えてここには詳しく書きません。是非、その目でご確認ください。
極月(ごくづき)、楪はその身に「印」を持って生まれた。15年、掟により家族とも引き離され、外界と隔絶された部屋で、空から落とされる美しい贈り物を心の拠り所として孤独に過ごした。——成年を迎えた彼は山神に捧げられた。
幼子は禍き穢れた穴で目を覚ました。穴に巣くうモノは幼子の肉体を貪る。幼子の、心は死ねども体は死なない。——悠久の時を穢れに捧げた。
重い重い……と思われることでしょう。でも大丈夫、作者さまの優しい文章のおかげで、すんなりと読めます。ただし、ティッシュはご用意くださいませ。絶対ですよ。
「純粋」が形を持ったような楪、身体を喰われながら永遠とも思える時間を孤独に過ごした少年。
一方は微笑みのほかを忘れ、もう一方は微笑みかたを忘れ——ふたつの壊れかけた心が出会うとき、物語は大きく動き出します。
生まれた時から「贄」として生きることを定められた楪。幽閉され、誰とも触れ合うことなく十五年を過ごした彼は、花嫁の白無垢を纏って山へと捧げられた。山神は自分を食らうつもりだと思っていた楪。しかし、彼の予想ははずれる。山で対面した山神の銀花は、楪は「共に生きる番」だと告げる。
世間知らずな楪と優しくて孤独な神、二人が出会ったことで運命の歯車が動き出す。
主人公の楪がとにかく可愛いです!
楪は、幽閉されていたせいで知らない事だらけ。何もかもが新鮮に映るらしく、ちょっとしたことにも大きく心を動かしてしまいます。そのすがたが小動物みたいに可愛くて、守ってあげたくなる男の子です。
楪を受け入れる山神の銀花は、優しくて頼りになるイケメン!
物語が進むにつれ、彼がどんなに楪を大切に思っているかが分かっていって、めちゃくちゃキュンキュンしました☆
銀花は、どんなときでも楪の味方にちがいない。彼がいれば、楪は絶対に幸せになれると思わせてくれる、彼の安心感がたまりません!!!
神秘的で幻想的な和風世界観で描かれる「純真無垢な少年が、孤独な神との出会いで“愛されること”を知っていく物語」をぜひ、あなたも読んてみてください☆
十五歳の誕生日に「山神様の花嫁」として捧げられた少年・楪(ゆずりは)は、当初、自らを生贄だと思い込んでいた。
しかし彼を待っていたのは、十五年間ひそかに見守っていた山神・銀花との出会いで――
楪がとことんかわいい和風ファンタジーBLの婚姻譚です。
彼を溺愛する銀花の気持ちがよく分かります。
でも番(つがい)の役目は山神様の穢れを浄化すること。
だけどその方法は――
ひたすら初心(うぶ)で純真無垢な楪に、銀花は番の役目を果たさせることを躊躇しますが、
山神とて、その身に穢れをため続けることはできません。
心から楪を愛する銀花の決断は――?
文章が非常に美しく、情景描写が繊細で読んでいるだけで心が洗われる。
楪の純粋無垢さと銀花の慈愛深さのコントラストが絶妙で、二人のやり取りに心暖まります。特に楪の「はじめて」だらけの反応がとても愛らしく、読んでいてつい口元が綻ぶ。
和風の世界観も丁寧に作り込まれており、山神や土地神といった設定に説得力がある。異種婚姻譚でありながら、押し付けがましくない優しい愛情表現が印象的。
BL作品として、また純愛ファンタジーとしても楽しめる作品で、続きがとても気になる。ハートウオーミングな物語を読みたい方に強くおすすめ。
9話までの感想です。