概要
毒のくせに苦いなんて、どうかしてる。きっと彼女ならそう言うと思う。
名前も知らない制服姿の彼女。
関係は一本の煙草と賭けから始まった。
通信制高校の裏手、薄暗い喫煙所で出会った彼女は、まるで物語の外からやってきたような声で「煙草が吸いたい」と言った。
嘘と本音の境界線を弄ぶような言葉遊び。
アイスのようにすぐに溶けてしまう関係の温度。
「過去をやり直せるとしたら――いつを選ぶ?」
子供以上、大人未満のふたり。
痛くて、ずるくて、やさしい時間だった。
だから“物語”を始めてしまった。
……否応なく始まってしまった。
それは、忘れたふりをしていた誰かの感情を、静かに呼び起こすために書かれた。
フィクションか、記録か。恋か、それとも錯覚か。
嘘は書いてない。でも、そこに真実もない。
これは、“さよなら”の、その先を綴る物語だ。
おおよそ23
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