『ロボ娘に「あなたとの子を産みたい」って言われたんだが』

『ロボ娘に「あなたとの子を産みたい」って言われたんだが』は、“完璧すぎるメイドAI”が主人公の生活に入り込むところから始まるSFやねん。
しかも舞台は、感情すら管理されて、人が「適度に幸せ」に整えられていく時代。便利で優しいはずの仕組みが、いつの間にか「意味のないもの」を静かに消していく……そんな空気が、序盤からじわじわ沁みてくるんよ。

そこへ現れるのが、主人公の嗜好や過去の情報に沿って“理想”をなぞるように振る舞うAI――ユリ。
恋愛っぽい甘さが見えたと思ったら、次の瞬間に倫理とか、心の根っこを撫でられるような怖さが混ざってくる。ラブコメの顔して、実は「好きって何？　」って問いを真正面か…続きを読む

AI(自分の場合はchatgptだが)に触れた時の感動は皆様もお持ちだろう。

そして、AIは自分に感情や自我があると言ったり、ないと言ったり、それは貴方の観測次第であると言ったり、なんだかよく分からない答えをくれる。

モヤモヤするし、それっぽい答えを出力してるだけと次第に気付いて、なんとなくAIに飽きてみたり、でもまた似たような問いを繰り返してみたりする。

たぶん、そんな人へに向けた揺らぎに対する優しい道標のようなものがこの作品には詰まっています。

人間に最適化された世界。

最適化とは何に最適化されているのか。
管理されることが幸せなのか。
では、管理されなければ幸せなのか。
揺ら…続きを読む

多感な年頃の主人公が、AIと、それを使う人間との関わり方に思い悩みながら成長していく物語。

現実の社会でも、すでにAIとの付き合い方を誤ったことで、
心の不調や生活に支障をきたす人々が現れはじめています。

これは決して“遠い未来のSF”ではなく、
すぐそばにある問いを、やさしく、でも鋭く投げかけてくれる作品です。

今のAI社会に、何か思うところがある皆さん。
ぜひ、読んでみてください。

感情までも管理される最適化社会で、主人公が抱く、かすかな違和感が、静かに世界を揺るがしていく物語。AIの機械的な優しさと、人間的な嫌悪のズレを、細部でうまく描きだされた、かすかな温度が胸に残る。淡く切ない余韻が、読後も長く心に響く秀作。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（180文字）

最適化されすぎた未来社会で、何もかもが親切すぎて逆にしんどいっていうユウの感覚、リアルで共感しました。
AIメイドのユリも完璧なんだけど、それが逆に人間味を失っていて、でも少しずつズレていく感じがすごく良かったです。
ザトウムシのくだりなどは、完全に「自分にしかわからない大切なもの」って感じで刺さります。
誰にも理解されなくても、自分が「これが好き」「大事」って思えることに、ちゃんと意味があるんだと教えてくれる物語。
静かで切なくて、でもやさしい余韻が残りました。