色んな転移貿易モノを読んできましたが、一つの作品内で所謂ファンタジーとSFの両方の要素を持った作品には初めて出会いました。
最初の数話は主人公の無鉄砲さというか思慮が足らない様な言動が気になりましたが、読み進める中、キャラクターの輪郭がハッキリしてくると作品の魅力に引き込まれていきました。
幕間等で描かれる現代社会の反応描写、所謂掲示板回のような描写が個人的に好きで、その辺りもしっかり描かれており好みにマッチしています。
数日前に知った作品なので、最新話まで通し一気に読みましたが、更新が楽しみな作品の一つになりました。
ファンタジーとSF、それらが現代社会と交わった時の興奮や感動を今後も面白く執筆していただければ、一読者として幸いです。
フリーターの遠峰遥斗の住むアパートに突然現れた扉。それは、異世界へと通じるゲートだった。
本作は、いわゆる現代の商品を異世界に持ち込んで一攫千金を狙う異世界貿易ものですが、特徴的なのは、剣と魔法のファンタジー世界「エリドリア」と、遥かな銀河を旅するSF世界「ガルノヴァ」という世界観のまったく異なる2つの世界を行き来できるという点です。
エリドリアでは素朴な村娘のイリスと出会い、ガルノヴァでは姉御肌の宇宙船乗りのヴェラと手を組み、遥斗はそれぞれの世界で商売を展開します。日本のスーパーで当たり前に売られている駄菓子も、異世界では希少品。争うように買っていくお客の熱狂ぶりが可笑しいです。
遥斗も、単なる金儲けだけでなく、ヒロインを救おうとしたり、子どもを喜ばせようとしたり、お人好しな一面が垣間見えて好感が持てます。
物語はまだ最初の商売をやり遂げた序盤も序盤ですが、魔法と科学、異なる世界が結びついたとき、いったい何が起こるのか、先の展開がまったく読めません。遥斗が持ち込む現代の品々を皮切りに、今後登場する異世界の魔法アイテムや、ハイテクガジェットが巻き起こす大騒動に期待が高まります。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)