骸華之一族

　僕は一つの視点に過ぎず、きっと主人公なんかじゃない。だから群像劇。この物語はそう表現するのが良いと思う。僕を除けば誰も彼も、“普通”という枠から飛び抜けているから、地の文は殺伐とするばかりだ。
　語り始めは、地球と言う捻りのない名前の世界で、極東に位置する島国に生きる平凡な花屋見習いが務める。彼は平凡な癖してしぶとく生き残る奴だけれど、だからと言って、非日常的な命運が降りかかる訳でもなく、最近は平穏な日々を過ごしていた。しかし、恋人の実家へ挨拶しに向かったことから、彼の生涯は狂い始める。

　語るに足らない凡夫が婿入りした、超凡なる一族の序章。
　幾多の時代と世界を巡りながら終幕を目指す、笑いの絶えない賑やかな家族の日々。　
　その実は、十人十色の視点から描き出される人間模様なのだろう。
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