消えたいと願っているのに、隣のすまし顔が空気を読んでくれない

視点はまさかの雛人形。人形に魂が乗り移ってしまった利津はカタカタ動くことくらいしか出来ない。声をあげれば呪いの人形だと怖がられ手放される。長い時を一人で過ごしてきた利津に、ある日うるさい相棒が出来る。彼との出会いが止まってしまった利津の時間を再び動かす――。

素敵な結末に読了後は心がホクホクになりました！

かわいいとホラーは相性がいい。
だから人形ホラーが流行る。
しかしギャグとホラーの相性もいい。

無惨な死を迎えた幽霊・利津。
気づくと彼女は、自分を殺した女中と、かつて自分の許嫁だった男の家にある女雛にとりついていた。怒り憎んだ彼女は復讐する。

本懐をなしとげた彼女だったが、やがて、雛人形は『呪いのひな人形』と噂されてしまう。
成仏することも出来ず、人形として愛されることもない日々――。

『あれだけ威勢がよかったのに、どうしちゃったの？』
『人形が喋ったぁぁぁぁ！』


そんな中、自分より後に男雛にとりついた魂、日野和弦が利津に話しかける。
それにより、さらに『呪いのひな人形』の噂に拍…続きを読む

元はといえば大昔、呉服屋の持ち物でした。
そこの娘さんは若くして死んでしまうわ、ヒッソリ持ち出したカップルは不幸になるわ……とにかくトンデモないシロモノであります。
男雛も女雛も魂が入り込んでるみたいで、おっかないったら有りゃしません。

いえいえ、ホントですって。
よーく見てて下さい。勝手にガタガタ鳴り出しますから。

当店も買い取りたくなかったんですけど、こんな商売をしてますからね。
ビビっていたら廃業してしまいます。

あらお客さん、いい顔してますね！
あなただったらきっと――――まあ、いい加減なことは申し上げないでおきましょう。

……私が誰かって？
それはさておき、お読みくださいな。