こちらに書かれている話は、筆者が実際に見聞きした話がベースとなっているとのこと。 派手な血飛沫が散るわけでも、呪物が出てくるわけでもありません。 当たり前の日常に紛れ込む何とも言えない違和感。ほんの半歩先の足元にある暗がり。背筋を這い上る、名前の付けられない感覚。 夕暮れ時、塀と塀の間の細い隙間を覗き込んだ時のような気配に満ちた掌編集を、是非。
……誰も気づかないだけ。古い団地には、もうずっと“それ”が住んでいる。
不思議な団地には、不思議な逸話が沢山ある。だがそれは陰惨なものでもなく又、七不思議の様な在り来りな不思議でもない。まさに、 怪談 なのである。妖怪というものがあるのなら、きっとこの団地を根城にしているのだろう。何とも言えない、好ましさがある。きっと、言葉で来歴を述べるよりも、出て示す方が得意なのだ。それを以て 妖怪 と我々は呼ぶ。懐かしい様な、只々不思議と不可解だけで全てを成す様な者たちが住まう団地。見たい様な、少し怖い様な。きっと目を凝らせば見える筈だ。
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