……誰も気づかないだけ。古い団地には、もうずっと“それ”が住んでいる。
不思議な団地には、不思議な逸話が沢山ある。だがそれは陰惨なものでもなく又、七不思議の様な在り来りな不思議でもない。まさに、 怪談 なのである。妖怪というものがあるのなら、きっとこの団地を根城にしているのだろう。何とも言えない、好ましさがある。きっと、言葉で来歴を述べるよりも、出て示す方が得意なのだ。それを以て 妖怪 と我々は呼ぶ。懐かしい様な、只々不思議と不可解だけで全てを成す様な者たちが住まう団地。見たい様な、少し怖い様な。きっと目を凝らせば見える筈だ。