過剰な描写はありません。劇的な展開もないでしょう。社会人の美穂さんと、お隣の大学生・翔くん。二人は「ただいま」に「おかえり」と返してご飯を食べます。それって素敵な事ですよね。日常を淡々と描きながらも、どこか懐かしさを感じる瑞々しさは、きっと疲れた心に染み渡るでしょう。山なし、谷なし、けれども癒やされ。温かな気持ちになれる優しい作品でした。
翔くんの細やかな気遣い、美穂さんのくすぐったい不器用さ。なんでもない夜がちょっと特別に思える。そんな物語。
ダメダメなお姉さんとしっかり者の少年。すごいほのぼのとした日常が楽しめます。食事の描写などは凝っていて、こちらがお腹空いてきてしまう程でした。疲れた日々を忘れたい方、癒されたい方にオススメな作品です。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(470文字)
短く切るテンポの良い文章が作品全体の雰囲気を巧みに作り出していました。古いアパート、最寄りから遠い立地、疲れて帰宅する主人公の心情、そしてそれを柔らかく迎え入れる隣の大学生の存在感がふわっと優しい温度で描かれており、読んでいて幸せを分けてもらうような感覚を味わいました。また、主人公と大学生の両方の視点から物語を見ることができる工夫も、技ありで良いなと思いました。
アラサーOLの安中美穂と男子大学生の榛名翔の視点で語られる群像劇ですね。ただ、恋愛要素は無いように思います。物語としての読み味は、みなみけがかなり近いのではないかと思います。(コミカルさは多分ありませんが)
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