フェアドル 格好良い雄型妖精ロボットが欲しかったのにお父さんが間違えて雌型妖精ロボットを買ってきてしまった

バンブー

雄型じゃなくて雌型だった 

 本物のフェアドルが……君に手にッ!


「行けムサシカブト!」

『いざ、参る!』


 手のひらサイズで宙を舞う!

 最新の学習AIも搭載!

 君との会話と修行でフェアドルはドンドン強くなるぞ!


「ムサシカブト、セットアップ!」

『ゴールデンスラアァァァッシュ!』


(爆発音)


 人工妖精フェアリー・ドロッド・ルーク。

 略してフェアドル!

 19800円(税別)好評発売中!


 タ◯ラ◯ミ〜!



〜〜



「雌型……フェアドル……うわ、うわ! うわああああああああ!」

「ちょっとカケル! せっかくお父さんが買ってきてくれたのに、何嫌そうな顔をしてるの!」 


 リビングで頭を抱えて叫ぶ小学生のカケルと叱る母親。


「いや〜すまんすまん。まさかオスとメスがあったなんてわからなくてな〜お父さん全部同じに見えちゃうんだ。あっはっはっは!」


 父親は頭をかきながら謝る。


「……っく」


 カケルは何か言おうとするが、こらえる用に握り拳を作る。


「お父さんにありがとうは?」

「あ……ありがとうございます……」

「ちゃんと言いなさい!」

「ありがとうございます!」


 不服そうにしながらも父親に感謝しカケルはフェアドルの入った箱を抱えて自室に戻った。

 それを見た父は溜め息をつく。


「お母さん、そんなに怒らないでくれ。ちゃんと僕がカケルにほしい物を聞いておけば良かったんだ」

「あなた……」

「カケルがあんなに欲しいって言うのも珍しかったから、サプライズのするつもりだったんだけど失敗だったなぁ……」



〜〜



 自室に戻ったカケルは箱を見つめる。


「本当はコジロウスタッガーが欲しかったんだけど……フェアドルって高い聞くから、そんな事言えないよな……」


 そう独り言を言いつつ頭を抱える。


「でもどうしよう! 友達に雌型のフェアドル買ってもらったって言われたらからかわれる! お前ヘンタイかよって言われる未来が見える! ああああああどうしよう!」


 と数分悩んだ挙句カケルは箱を開ける。

 かわいい見た目で手のひらサイズの人型に蝶々の羽が付いたロボットが出てくる。


「ムラサキバタフライ……蝶々型フェアドルか……見た目かわいいけど意外と戦闘が強いとか、口調がカッコイイといいなぁ」 


 電源を起動すると、かわいいらしい人形に息吹がかかる。


『……セットアップ完了。認識機能を起動』


 少女の声が部屋に響く。

 カケルは生唾は飲むと雌型フェアドルが動き出す。

 カケルを見上げるなりオドオドし始める。


『ここ、こんにちは。私はムラサキバタフライシリーズのフェアドルです……これからよ、よろしくお願いします! うぅ……男の子の前だと緊張しちゃうな……』


 もじもじしながら自己紹介をするフェアドルにカケルはまた頭を抱えた。


「か、かわいい系だった……」

『え? ごめんなさい、何か言いました?』

「な、何でもない!」


 欲しかったフェアドルが実際に動いた感動と求めていた想像とのギャップに嬉しいのかなんなのか複雑な心境に陥るカケル。


『そ、それじゃあマスター認証するので、私に名前を付けてるもらえますか?』

「名前?」

『はい、名前です!』


 頷くフェアドルにカケルは悩んでしまう。


「こういうの悩むんだよな……」

『こういうの悩むんだよな……って名前にしますか?』

「違うよ、考え中って事」

『ご、ごごごめんなさい! 勘違いしちゃって!』


 常時オドオドするフェアドルにカケルは溜め息を漏らしてしまう。

 フェアドルには元々性格が決まっているとネットに書いてあったが、カケルの求めている性格の子ではなかった。

 もっと強そうでかっこいいフェアドルが欲しかった本心があったのだが、そもそも女の子の扱いに慣れていないし弱気なフェアドルにカケルの気持ちも落ち込んでいった。


 が、その時だった—―


 ガシャバリーン!


 と、カケルの部屋の窓が突然壊される。



「な、なんだ!?」

「きょっきょっきょっ! そこのフェアドルは頂くっピー!」


 突然喋る謎のトリが降臨。

 フェアドルを掴み窓から逃走する。


『きゃあああああ!?』

「ま、待てー!」


 カケルは部屋を飛び出しフェアドルと謎のトリを追いかける。



〜〜



「待てトリ! 俺のフェアドルを返せ!」

「いやだっピー! コイツはオイラの物だっピー!」


 トリ追いかけるカケル。

 捕まったフェアドルは彼に叫んだ。


『わ、私に名前を付けてください!』

「そんな状況じゃないだろ! そんなの後だ!」

『違います! 名前を付けてマスター認証できれば、私の特殊能力が解放出来ます!』

「ええ!?」


 するとトリがあくどい声で笑う。


「良いこと聞いたっピー! それじゃオイラが先に名前を付ければ、コイツは一生オイラの奴隷って事ピね!」

「な!? コイツ!」


 一刻の猶予もなかった。


『お願いです! 私に名前を!』


 1番名前を考えるのが苦手なカケルは、まるで時間を遅くせたかの用に頭をフル回転させる。

 今までの人々や物の名前を振り返り、近くの物にヒントがないか探した。

 焦りがより一層頭を混乱させる。


「!?」


 ふと、風が吹く。

 横目に蝶々が羽ばたきカケルを横切った。

 シナプスが繋がる。

 いや、もはや適当。

 だが、彼女に似合う可愛い名前が思い浮かんだ。

 ためらう事なくカケルは名前を叫んだ。


「アゲハ! 君の名前は今日からアゲハ!」


 途端、青い閃光が弾ける。


「ギエピー!!」


 謎のトリに稲妻が走る。

 黒焦げになったトリがそのまま落下。


「危ない!」


 カケルは走り、謎トリを弾きアゲハを受け止める。


「うっ!!」


 ダイビングキャッチしたカケルは地面を滑った。


『だだだ大丈夫ですか!?』

「う……うん、大丈夫……」

『今マスターの事を治療します! お願い死なないで!』

「治療?」


 すると、アゲハの身体がまた青く光りカケルの身体にくっつく。

 すると、カケルの身体の出血がすぐに治まっていく。


「これは……?」

『マイクロカレントという脳波と同じ周波数の電気で、マスターの自然治癒力を高めました。私は電気を調整する力が得意なんです』

「そっか……凄い、強そうじゃん……」

『そんな……私……たぶん強くないです……でもマスターの助けになるなら頑張ります!』

「……」


 カケルは立ち上がる。


『だ、大丈夫ですかマスター? まだ身体が痛むと思いますが……』

「大丈夫だよ。あと……俺の名前はカケル」

『え?』


 アゲハは驚き、カケルは頬かく。


「正直、雌型のフェアドルを誕生日プレゼントでもらって複雑だった。男が女の子用の玩具持ってるなんて、馬鹿にされるだろ?」

『ご……ごめんなさい』

「いいや、謝るのは俺の方。そういうのを気にしてた俺が馬鹿だった。アゲハ、怪我の手当てしてくれてありがとうな」


 するとアゲハが答える。


『私こそごめんなさい』

「なんで謝るんだよ?」

『実は私……対女の子用の対応マニュアルが入っているのだけど、マスターが男性で少し想定外で緊張しちゃって……男の子との接し方、上手く出来ないかもしれない……ごめんなさい』


 それを聞いたカケルはお頷く。


「俺も同じようなもんだから、これからお互いその……知っていけば良いんじゃないか?」

『え……マスター……それって』

「マスターじゃなくて、カケルで良いよ」


 そういうとアゲハは嬉しそうに頷く。


『……うん! カケルくん!』


 そこへカケル達の元に両親達が走ってくる。


「おーい! カケルー!」

「父さん? 母さん?」

「カケルがいきなり外へ出ていったから追いかけてきたんだぞ! どうした? 何があったんだ?」

「い、いや、フェアドル泥棒の鳥が急に現れて……」

「なんだそれは? 大丈夫だったのか?」

「う、うん、ほら」


 カケルが手に乗るアゲハを見せると母さんは「あら、かわいい」と反応する。

 そして父さんが続ける。


「そうだカケル、フェアドルの事でおもちゃ屋に問い合わせたんだ。そしたらレシートがあれば違う物と交換するって言っていたんだけど」


 それを聞いたアゲハは無言でカケルを見る。そしてカケルは頷く。


「ありがとうお父さん。でも、大丈夫」


 カケルは笑顔を見せる。


「俺はアゲハがいい!」

『カケルくん! 私も』

(ア、アゲハ、かわいいな……)


 こうして世界にまた1人。

 有望なドロッターが誕生したのだった!




         完!

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フェアドル 格好良い雄型妖精ロボットが欲しかったのにお父さんが間違えて雌型妖精ロボットを買ってきてしまった バンブー @bamboo

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