このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(229文字)
いやあ、面白かったです。誰もが、一度は思ったことがあるんじゃないでしょうか?主人公は常に金欠のことが多い方なのでしょうな。そしてこの時はさらに緊急のようで、切実に金が、ない。そして人間、金がない時というのはどういうわけだか神経が研ぎ澄まされるのでございますな。給湯室、目の前に、コーヒー・お菓子の『募金箱』こういうシチュエーションは割と多いんですよね。そして誰にだって、あるのではないでしょうか?さて、それで、『この』主人公がとった選択とは……?ご一読を!!
この作品は、人間の悪と闘うシーンの描写が、うまいと思います。主人公が、盗みを企てているところに、女の子が現れて、千円札を出費することになる話しも、面白い。心の隙をついた作品です。
男はただでさえ貧乏であった。 加えてそれを慰めるためか、煙草と賭け事がやめられない。 より困窮した男の前には、金の入った――ただし、一般人からすればそれ程でもないであろう――缶がある。 はて、それはカンダタの前に垂れた蜘蛛の糸か、下人の前に出た老婆であるか。・ 読む側がハラハラさせられる短編。「魔が差す」瞬間、明暗の際にいてどちらにも転がりかねない状態が巧みに描かれている。 些細なものかもしれないが、重要なのは規模の大小ではない。 自分を貫くか、折れるかの問題であり、男の心中に駆け巡ったものは、誰もが経験する(した)であろうことなのだ。
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