ドーナッツ

紗那

0カロリー

ドーナツは、真ん中が空いていて、0の形をしているし、

何より高温で揚げているからゼロカロリーなのだ!


どこかで聞いたようなセリフをドヤ顔で宣言して、かぶりついているのは幼馴染の春。2歳下の17歳。花も恥じらう乙女の年頃はどこへやら、チョコファッションドーナッツに食いついていて、唇の端に食べカスとチョコが付いている。


今日は勉強って言ってたろ。春がミスドに行こうと発言した時から怪しいとは思っていたんだ。勉強はどこをほっつき歩いているんだ?

ため息をついて、「付いているぞ」と、手を伸ばして春の唇の端を指でつついたら、ぶわっと春の顔が紅くなった。


「そ、そーやって許可なく触るのは禁止なんだから!セクハラっていうんだから!」

「これでセクハラなら、世の中はセクハラだらけだな」


そう返しつつ、しげしげと紅潮している春を眺める。珍しいな。最後に頭を撫でてやったのはいつだっけ。


「っ、だーかーら!頭撫でないでよ!」

「あ、すまん。つい。」

「つい、で触らないで!セットが崩れる!」


春が髪の毛をセット?そう言えば最近きれいになってきたよな。


「許可取ったら触っていいの?」


笑いながら質問したら、ヤツはフリーズしてしまった。ちょっとまだこの質問するのは早かったようです。まだまだ子供だな。言ったら怒られそうだから黙っておくけども。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ドーナッツ 紗那 @Mrsummer_sky1120

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ