おうちに帰りたいよう……

きいろいの

あの日から僕は孤独のうさぎ

 僕はホワイトラビット、人族で言うと普通の白いうさぎだよ。僕が住んでいる森には多くの仲間や動物がいて仲良しなんだ。たまに翼の生えた人も来るけど、とても優しくて僕たちを撫でてくれる。僕らのような動物は心の中にある魔力でいい人か悪い人かを判断出来て、僕たちを狩ろうとしている人が森に入れば草木の音や足音で知らせて安全な場所に隠れるんだ。


 ある日、悪そうな人たちが僕たちの森に入ってきた。僕たちを狩るような動きは無かったから警戒しながら近づいて様子を伺う。大きな何かを広げて見ていた。何を言っていたのかは人の言葉ではわからなかった。何かを言って笑いながら森から出て行った。本当に何しに来たんだろう?


 あれからしばらく経った。翼の生えた人も来てくれていつも通りの平和な森だなとのんびりしていた。だけど…。


 ドシン…ドシン…ドシン…


 聞いたことない音が地面に響く。僕のような大きな耳じゃなくても音は聞こえていた。鳥達が空を飛んで大声で叫んだ。


「岩の巨人がいっぱいこっちに来てる!!」


 僕たちはそれを聞きパニックになりみんな巣に帰って行く。翼の生えた人はこの家にあった人間の巣らしきところから何かを持って行って飛んでいった。僕も早く帰らないと行けないと走って巣に戻る。


 僕は巣穴から見てしまった。確かに岩の巨人がいた。そして巨人たちは木を一本ずつ折ったり抜いたりして鳥やリスたちの巣を壊していった。僕はその光景を見て震えるしか無かった。中には壊された木で巣穴が押し潰されている家族もいた。僕は祈った。助かりたいと…。


 次の日、僕たち家族が見た光景は僕が知っている森ではなかった。僕の家族はまだ生きているのが不幸中の幸いか。僕は他に巨人がいないか森から少し離れた高台へ走っていった。道中もういないと思ったけど、次は何をされるかわからない…小さな体で駆け登った。


 やっと到着した。僕は高いところから森だった場所を見渡した。巨人はもういない。だけど、それとは別に何かがいた。

 辺りを囲うように炎の塊がたくさん浮いていた。その後ろには布を被った人も複数人いた。あの人たちの仕業だったんだ…。炎の塊はゆっくりと侵入していき植物や壊された木を燃やしていく。ここで燃やされてると言えなかった。逃げ道は無いのだから…。あの中に家族がいるのに…僕は何も出来ずにただ見ていたんだ…。大きな耳から聞こえる動物たちの悲鳴…僕は必死に耳を押さえても聞こえてしまう。中には家族の声も聞こえた。僕はおかしくなる前に高台から別の場所へと逃げていった。



 あれからどうなっていったんだろう…何故人は森を壊して燃やしたのだろう…。知らないところで僕は孤独のうさぎになってしまった。星空を見て流れ星を見た。だけど、あの頃の森が帰ってくるわけがない。

 僕は泣きながらこう言った。


「おうちに帰りたいよう……」


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