第8話

「ってな感じなんですよー。そのあとブラッドリー関係の人におかしなこと報告しないようにって誓約とか、僕の身体検査とかいろいろされて大変だったんです。それからは警視庁の二重スパイ的な感じになってるといいますか~。」




「大変だったんやねー。」




「っていうかジュリーさ。さすがに裸締めはひどいだろ?この通り僕命の恩人よ?もっと労わってくれてもいいだろ?」




「言っておくが、俺はあの時爆発がする前にコアは破壊していたんだよ。命の恩人も何もあるか。」




「うっそでー!僕の観察眼を甘く見るなよ。絶対僕の手りゅう弾のほうが速かったですー。」




「やかましい。紅茶飲み終わったんだからさっさと帰れ。」




「えー。」




「えーじゃない。ほれ、これバウムクーヘンのカタログ。やるからこれ買って奥さんの機嫌とって来い。」




「マジでいいの!?ありがとう!こんな感じでツンデレなんすよこいつ。ちょっとひねくれてるけどこれからもよくしてやってください。」




「どこ目線だ!さっさと行けダメ男!」




 ジュリーは強制的にブレイクを追い出す。手を振る彼を無視して扉を閉めるまで、モモセは楽しそうに笑っていた。




「はあ、疲れた。」




「ええお友達ができてよかったねえ。」




「だから友達じゃないですって。」




「そんななかとよ。ジュリー君にはああいう引っ張ってくれる子が必要ばい。」




「ジューンさんとエリザベート様で十分ですよそんなの。」




 ジュリーがソファーにドカッと座ると、続いてモモセもその隣に座った。彼の頭をなでながら、モモセは疑問に思っていたことを聞く。




「でもどうしてブレイクさんは記憶を消さずに引き込んだと?確かあったはずばい。なんだっけ、あの記憶を簡単に消せる機械。」




「確かにありますが、そこはエリザベート様たちの判断に任せたのでよくわかりません。まあおそらくですが、最近知った知識から推測するにあいつはあれなんですよ。適合者。」




「えーっと神器んことかな?」




「ええ。あのブレスレットいまはサリム兄さまが保管しているらしいですが、あれはあいつが触れたときだけ起動しました。アンノウンがあれだけ巨大化したのも神器の影響だったと勝手に思っていますが、そうであれば貴重な適合者は引き込んでおきたいと思うのは当然かと思います。」




「だとしたらますます大事なお友達やね。」




「そうであってもあいつの力は極力借りたくないですね。あとで絶対ウザがらみされますから。」




「あはは。まあまあ。」




 ブレイク・ウォード。どこまでも軽薄で、ふざけていて、割と優秀な男である。どれだけジュリーが嫌がっても、これからも彼との腐れ縁は切れそうにない。また奥さんと喧嘩した時は今回の味をしめてここにお茶を飲みに来そうで少しげんなりするジュリーであった。

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クリムゾンムーンファンタジー 黒猫館長 @kuronekosyoko

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