第4話 カグヤ博士は月にミサイルをぶち込みたい
―― 火星の小学校、現在 ――
先生は続けた。
「カグヤさんは、その後タイムリープを使って6500万年前に大量の最新ミサイルを転送しました。月にミサイルをぶち込む計画を立てたんですよ~、なぜでしょうか?」
「『カグヤ様は告らせたい』んじゃね?」とレオ。
「誰によ、アホ! 地球アニメの見すぎっ!」とミーナ。
レオがもう少し真面目に考えてから最初に手を上げた。
「月にモンスターがいたからではないでしょうか?」
「バカ……」と再び吐き捨てるミーナ
次にミーナが手を上げて答えた。
「爆発放射のタイミングで月が太陽と地球の間に丁度位置するように月の動きを調整するためですよね?」
「はい、ミーナさん正解です。新月と言いますね。爆発放射は4時間ほど続きますが、その間、新月になるように月の動きを調整しなければいけませんでした」
「それで、月にミサイルを大量にぶち込んで月の公転タイミングを調整したのか?」
レオがぶつぶつと言うと、ミーナが補足した。
「そうなの! 1年に渡り何百発もぶちこんで、ちょうど爆発放射の時に新月になるようにしたの! ミサイルから機材から全部6500万年前に転送してたいへんだったらしいんだからね」
そのミサイルのために月に大量のクレーターが出来たことを、地球人は知らない。
太陽で起こった6500万年前の爆発放射での凄まじいエネルギーは……、
水星を焼き、
金星に大量のガスを発生させ、
月と火星を砂漠化し、
木星の大気循環を悪化させた。
先生はゆっくり語った。
「それで地球だけは月を盾にして最小限の被害に免れたの。最小限と言っても、恐竜が絶滅するなどそれなりに大きな影響はあったけどね」
ミーナが付け加えた。
「先生、私もう一つ知ってます。カグヤさんを伝承として日本という国で竹取物語が作られたんですよね?」
「そうです。主人公がまさに『かぐや姫』と言います。これは1,100年前にカグヤ博士が地球と月を調査しに行って住民に見つかったことがベースになっています」
それを聞いて、レオがミーナに言った。
「そろそろ僕らも地球人と交流してもいいんじゃないか?」
「まだだめよ、パンデミックとか紛争とか起きているから、もう少し進化してもらわないと危険だわ」
「えー残念だなあ」
今日も火星の子供達は元気だった。
今日も地球は美しかった。
それはカグヤ博士のおかげである。
―― 了 ――
(短編)🌕カグヤ博士は火星に帰る ☃️三杉令 @misugi2023
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