巨人『でいらぼっち』の足跡。そこで見つかった『謎のテープ』の正体は……

 出てくる発想が斬新で、読んでいて「おお!」となる作品でした。

 本作では「でいらぼっち」という、巨人の妖怪を巡る話が出てきます。
 主人公たちはその足跡のある土地へと赴きますが、でいらぼっちの足跡の「親指」や「中指」などの部分から、ある奇妙なものが出てくることに。

 とにかく作中で使われている「道具」がとても巧い。
 ホラーとして馴染みのある「ビデオテープ」などの品物が登場し、それが再生されるという展開。そこで既に「何か不気味なものが出てくるな」と強烈に引きこまれます。

 調査、確認していくというモキュメンタリー的な面白さもあり、更に「妖怪伝承」と「現代的なホラーの道具立て」が組み合わさり、新しいタイプのホラーを生み出すことに成功しています。

 新鮮な驚きと、雰囲気いっぱいのホラー表現を味わうことのできる、とても面白い作品でした。