第7話 セクハラだぁ―――! セクハラ? ほんと? やっぱり、違う? おばちゃん、難問に悶える!

それからのおばちゃんと17歳。客がいないと同級生の会話だ。


きゃつら、そろって風邪をひきやがって。


おばちゃん、自慢じゃないが、君たちがまだ卵にもなってない頃から、1度も風邪をひいたことがない!


酷い咳をして苦しそうにしていると、おばちゃん、思わず背中を叩いたりさすさすしてあげちゃってる。


店長が見てたら「セクハラ」と言われそうだが、17歳男の子。素直に背中をさすさすさせるし、とんとん叩くと、「あ……ありがとうです、ゲホゲホ」なのだ。


風邪の話から、予防接種の筋肉注射は痛いだぁ~。から始まって、静脈注射の話になった。おばちゃんの血管は、悲しいかな、右手背みぎしゅはいのたった1本からしか、点滴も採血もできない。


赤ちゃんの血管に刺すような「翼状針よくじょうしん」という蝶々の恰好をした細い針を使うと話したら、柿の種がすっと腕まくりをした。


白くて細い腕だが、すぅ――――っとまっすぐで太い静脈が3本、パツンパツンに張りがあって浮き出ている。


垂涎すいぜんもの!」 


おばちゃん思わず柿の種の右手を両手で握りしめ、(セクハラ行為)


「1本くれない?」と言ってしまった。



そして話はそこで終わらない。


「やっぱ、男の子は筋肉ついてるね~」(セクハラ発言!)


「自分、腕相撲で、柿の種には1勝9敗なんっす!」(気にしてない)


ガタイがいいチロルチョコから、意外な発言。


「どれ、力入れてみ?」(セクハラ発言)


チロルチョコ、二の腕に力こぶを作る。(気にしてない)


「おお! やっぱり硬いね~」(にぎにぎしてセクハラ行為とセクハラ発言)


「僕はこれっくらい」


腕を差し出す柿の種。(自らセクハラ行為推進!)


「うそ! 柿の種の方が断然硬いじゃんか!」(さらに強くにぎにぎ。セクハラ行為とセクハラ発言!)


「こっちもこんくらい」


柿の種、腕から下に力を入れて、おばちゃんの前に差し出す。(自らセクハラ行為を促す!)


「ちょっとちょっとちょっとぉぉぉ―――!」


おばちゃん、柿の種とチロルチョコの腕をガシガシ握って、硬さの違いを確認中。(完全セクハラ)


柿の種の腕は、パンパンに硬い。チロルチョコは、1cmくらい指が沈む。


「なるほど~~。こりゃ柿の種の方が強そう! でもでもでもね~」(ここでおばちゃん、17歳男の子をセクハラ行為に引き込んでしまった!)


「おばちゃんの左腕、筋肉どころか、肉がついてなくて、へこんでんだよ~。即骨なの」


にゅっと左の二の腕を二人の前に差し出す。(セクハラしろと促すおばちゃん)


二人とも普通ににぎにぎして驚く。(気にしてない!)


「うそ! 腕がくぼんでて肉がない!」(セクハラ行為してると気がついていない)


「だしょ? 小さい時から身体が弱くて、筋肉注射ばっかりしてたからかなぁ~。普通は盛り上がってる箇所なんだけど、逆に肉がそげてんのよ~」(セクハラされてるとは思っていない!)


17歳男の子。女性の腕をにぎにぎしているという意識ゼロ! (これ、普通だったらセクハラ行為なんだけど……。誰もそうは思っていない)


おばちゃんは女じゃないん鴨~。


でも、多分、よぉぉぉぉ―――く考えたら、初女性の腕タッチ! だったと思うのだよ。


しかし、17歳男の子たち、それすら気がついていない! 


おばちゃん、心の中で頭をガシガシして悶えた!


おばちゃんは、17歳男の子には、「女」と認識されてなかったぁ~。


そして、おばちゃんも、17歳男の子を、「男」と思ってなかったぁ~。


店長の注意を無視して、17歳男の子とおばちゃんは、いっくら触りまくってタメ口叩いても、


セクハラなんてもんにはならんかったぁ~。


「砂糖対応」されてるおばちゃんは、17歳男の子のお仲間になっちゃってましたぁ~。


てんちょ! 30代の君にはわかるまい。

君は17歳女の子従業員にはさわれまい。そして、自分のおかあちゃん年代のおばちゃんにも触れまい。君なら両方、セクハラ・ストライクゾーンだからな。

ふぉっふぉっふぉ。


おばちゃんは高らかに笑って退職した!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おばちゃん「セクハラ」すれっすれ行為に悶える! 柊 あると @soraoda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画