エキエナの風はマリーゴールドに吹く

西アフリカの小さな町で暮らすカッサ（六歳）は、父を戦争でなくし、病気がちの母を助けるためカカオ農園で働いている。その農園では自分と同じ境遇の子供達が十二人、学校に行けず労働していた。

そのウチの一人、ジブリル（十一歳）は、一番幼いカッサを気にかけ、勉強を教えてくれたり助けてくれた。ジブリルは十歳まで学校に通えていた少年だった。

カッサはジブリルを兄のように慕っている。だが、ある日、ジブリルは戦争に行くと言いだした。

彼の夢は政治を変え、辛い労働を強いられているカカオ農園の子供達を学校に通わせてやること。主にカッサ。彼は彼女に明るい未来を与えてやりたかったのだ。……命を賭けて。