届けられなかったクリスマスカード

都会の片隅で郵便配達員として働くアキラは、夢見た未来から遠ざかり、平凡な日常をただ淡々とこなす日々を送っていた。そんなある日、20年前の消印が押された一通の古いクリスマスカードを見つける。宛先も差出人も消えかけているその手紙には、子どもの文字で「お父さんへ」と書かれていた。

この手紙が一度も届けられなかったことを知ったアキラは、なぜかその行方を追わずにはいられなかった。記録をたどり、聞き込みを重ねる中で、手紙の送り主・健太とその家族が抱えていた物語が明らかになっていく。そして、ついにクリスマスの朝、健太と父親は20年ぶりの再会を果たす。

「届けられなかった手紙」によってつながった人々の絆。アキラ自身もまた、心の中に灯る小さな光を感じ始める――。
クリスマスの奇跡を描いた、心温まる物語。