現 実 の レ イ ヤ ー を 超 え て ゆ く ! 

異能者たちの群像劇です。
古き良きラノベのテイストを持ちつつもアップデートされた世界観が感じられます。

作中では注力された情景描写が物語に厚みを与えつつ、情感ある台詞の土台となっています。
またそれと共に日常の世界が非日常のそれへと変遷する描写に現実味を与えてくれてもいます。

能力を得て常人より高次のレイヤーにある者が一般社会のレイヤーから隠れた場所。いわば下層のレイヤーで暗闘する。

これらの描写から、現実はいくつもの階層にあるという考えが感じられ、タイトルにも繋がるのでしょう。

作中の最大の特筆点でもある異能。

これはある意味ポピュラーな種類がほとんどです。
明らかなのは催眠や念動力などですが、そのため読む側には理解しやすく、使用者の心情や能力の反応と効果などの描写に高い解像度で楽しめます。

それら異能を用いた戦闘場面では、経過を追うだけでなく、その闘争で明らかにするべき点や読者の気にするであろう要素が外すことなく書かれていて、読む者にも作中のキャラクターたちが戦う必然性が感じられることでしょう。

いままで述べたように、詳細で堅実な場面構成が本作の特長とも言えますが、作品全体を通しての印象は決して重鈍ではありません。

時にコミカル、軽妙な要素も交えられていてメリハリがあり、全体読み口は軽妙です。
 

令和最新版の異能力バトルストーリー。
ご覧になってはいかがでしょうか。

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