tout guérir -すべてを癒す魔法 -

一歩間違えれば失敗する。知らないものは治せない。そんな難しいヒーリングをこなす小学2年生。短い話の中でまとまっていて、読み応えありました。
続きがあったら読みたいです。

つかみはバッチリで、キャラクターが魅力的です。魔法が好きな方におすすめです。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（214文字）

　魔法を使える魔術師と、魔法を使えない非魔術師がいる世界。
　魔術師の一人である少年・ロンが使える魔法は、すべてを癒す魔法。
　一見万能のように思えるその魔法は、使い手が知っているものしか治せないという制約があり――

　こちらは、長編小説『Ave Maria』と同じ世界観であり、 本編より少し前の物語だそうです。ですが、長編小説を読んでいなくても楽しめる構成となっています。
　短編の良作ファンタジーを読みたい方に特にお薦めです。

　特別な力を持つ少年ロンが直面する葛藤と成長を描いた『tout guérir -すべてを癒す魔法 -』は、読む者の心を深く揺さぶる物語です。

　ロンの迷いや痛みが織り成すエピソードは、読む者の胸に自然と共鳴します。魔法の輝きの背後に隠された重み、それに向き合うための勇気。そして、限界の中で掴む小さな希望。その描写の一つひとつが繊細で、物語全体に温かな光を灯しています。優しく、そして力強く。

　読後には心にささやかな余韻が残り、「何をできるか」ではなく、「どう生きるか」を問い続ける旅路へと想いを馳せる作品でした。

「ロンが水虫を治せる治癒力も在るのならば、俺に電話くれ。夕方の五時以降だったら家に居る。」

　魔法が存在する世界で、「すべてを癒す」と言われる回復魔法を持つ少年・ロンの物語です。彼の魔法には「知っているものしか治せない」という制約があります。医学と魔法の間で葛藤しながらも、努力を積み重ねる彼の姿は素敵です。

　物語を彩るのは、ロンを名前で呼んでくれる数少ない友人・エリックや、個性的な酒屋の魔術師・ダニエルといった魅力的なキャラクターたち。エリックは誠実で正義感が強く、ロンを支えます。一方のダニエルは、飄々とした性格ながら肝心な場面では頼りになる大人です。彼らとの関わりが、ロンの成長をより印象的に彩ります。

　文体は柔らかく、時にユーモアを交えながらも、緊迫した場面では一転して緊…続きを読む

本編ありの短編ですけど、本編の内容を知らなくても楽しめると思います。

回復魔法についての解釈がとても面白いなと。
それ以上に、本編よりも幼い登場人物たちの幼いゆえの純真さ、主人公の優しさと頑張りにぐっときました。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（419文字）

中々制約のある回復魔法らしくキャッチコピーにもある通り万能じゃないですね。危ないところでしたがなんとか機転を効かせ解決できて良かったです。