第5話 僕は犬じゃない

 疑問を抱いたら、口に出してしまうのが私。まず、母に相談しました。すると、「言われてみると……」共感を得てしまいました。

 さらに母は兄に伝えたところ……。


「似ているかも」


 という、信憑性を得てしまいました。いやいや、ここは否定してほしかったです。一応、父親なのですから。

 すると本人の耳にも入ってしまい、どんな犬だったのかと聞かれました。


「顔だけは可愛い犬」


 答えたのは兄です。まぁ、貴方はジャッキーに嫌われていましたから、愛嬌さえも振り撒かれなかったのでしょう。なんという評価。自業自得のような気もしますが、ビックリでした。


 そして当の本人はというと、まだ生まれ変わり、という言葉を知らなかったのか、理解できていなかったようです。


「僕は犬じゃない」


 分かっているよ。今の君は人間で、犬ではない。勝手に盛り上がって、ごめんね。

 

 まだ理解できない年齢だったことは、不幸中の幸いでした。

 私もずっと伯母に似ていると言われ続けていたので、あまり良い感情ではありません。さらに知らないワンコを出されても、甥からしたら困ってしまいます。


 それでも思わずにはいられません。こんなにも似ているのですから。


 これからもその天真爛漫さのまま成長してほしいと思いました。人と犬は違います。世界も、成長していけば広がるでしょう。

 良いことばかりあるわけではありません。むしろ困難な方が多いです。

 その時、人格が変わることなど、よくあります。


 けれど幼い時の姿が、その人の本質でり、性格です。彼が将来、どのような人物になっていくのか、見守りたいと思います。

 その前に、兄と決別しているかもですが……。

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可愛い僕の転生先 有木珠乃 @Neighboring

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