第4話 もしや……!

 ジャッキーが亡くなってから九年後。

 その間に私たち家族の形も変わりました。兄の結婚が一番大きいです。なにせ、身内が増えたわけですから。


 さらに姪と甥も生まれ、一気に賑やかになりました。特に甥は姪のものを欲しがる子どもだったので、さぞ大変だったと思います。

 私もジャッキーにやられていましたから……。


 たとえば、ぬいぐるみ。私のぬいぐるみを欲しがるほど、自分のぬいぐるみに物足りなさを感じているわけではありません。

 楽しく遊んでいる姿を何度も見ています。それでも、私の気に入っているぬいぐるみには目がない。


 さらに私のひざ掛けも欲しいと主張するのです。本当はあげるつもりはなかったのですが、母が勝手に渡してしまうため、結果的にはあげることになってしまいました。


 人間同士ではないため、私も怒るに怒れません。せめてできるのは、そのような行為を許した母に対してのみです。

 

 しかし姪は……違います。兄も私とそのようなやり取りをしていないため、不思議がっていました。


 とはいえ、このような行為は、よその兄弟ではあるあるです。私たち兄妹が違うだけで。だからまだ、疑問に感じることはありませんでした。


 次に違和感を覚えたのは、自分のことを可愛いと思っている、と聞いた時。別に男の子でも、可愛いと思っていてもいいのです。たとえ可愛く見えなくても、本人が可愛いと思うのは自由ですから。


 しかし、女の人は皆、自分の言うことを聞いてくれると錯覚しているのはいただけませんでした。おそらく今は直っていると思いますが、甘やかされていた結果です。

 我が家は男の子だろうが、女の子だろうが、優先順位はありません。母方の家だけ、自分の方に似ている孫を優先しますが……ひ孫にまでは適用していないようです。


 そのため、母と私には通用しません! なにせ私と母は、子どもが嫌い。いえ、苦手と言っておきましょう。だから甥の言うことなど無条件で聞くことはありません。

 ダメなものはダメ! 容赦などしません!


 私自身、自分の意見が通った事例の方が少なく育ってきました。けれどジャッキーは言葉を話せないワンコ。本当にダメなこと以外は……大抵、通っていたように感じます。

 そう、わがままワンコでした。


 人懐っこくて、甘え上手。人のものを欲しがり、自分のことを可愛いと信じて疑わない……。さらに自分の言うことを聞いてくれる女の人が大好き……。


 そんな人間、いっぱいいるよ。いますよね。いるはずです!

 だから、このような思考はおかしいのですが……我が家にやって来る度、ジャッキーとの共通点を見つけてしまうのです。


 まさか! いや、そんなことはあり得ない。だってジャッキーは兄が嫌いだった。そんな人間の息子に生まれ変わるなど……。

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