最終列 誕生日

「・・・お母さん、今日はお友達が遊びに来たよ。紹介するね」


 それはあなたの母ではありませんよ。


っていうの。覚えてる?小学校から中学校まで一緒だった」


 ミカは押し入れの中から顔を出しているだけで、もう


「あ、お父さん!足臭いよぉ、洗ってきて」


 お父さんと呼んでいるモノはもう、大半がいる。




 ♫♬♪♩♫♬♪♩♫♬♪♩♫・・・・・・


「・・・はい?」


≪ダメだよ、早く逃げなきゃ!警察に捕まっちゃうよ!≫

 プツッ・・・・・・


 ♫♬♪♩♫♬♪♩♫♬♪♩♫・・・・・・


「・・・はい」


≪もっと・・・友達を呼ぼうか≫

 プツッ・・・・・・


「・・・そう、だね。今日は私の、誕生日・・・なんだから」


 ♫♬♪♩♫♬♪♩♫♬♪♩♫・・・・・・


「・・・はい」


≪プレゼント・・・あるよ・・・玄関の下駄箱≫

 プツッ・・・・・・


 あなたは嬉しそうに玄関へ行く。

「・・・あ!?!ルナー!会いたかったよー」


 それは子猫の形をしたただの肉塊だよ。



 プルルルルル・・・プルルルルル・・・・・・


「あ、?今から家にこない?ミカも居るんだけど。うん・・・あ、時間は何時でもいいよ、今日は朝まで飲んでるから。・・・うん、OK、じゃ待ってる。うん、はいはーい」



 あなたはお父さんをお風呂場まで運んでいった。



 今では夢の中で何度もあなたを殺していた人物の顔が、明確になっていった。



 それは、あなた自身です。



 ・・・私??

 私は・・・『あなた』の中に居る、また別の『あなた』・・・・・・



~人撹者~ END



イメージ画像⇩

https://kakuyomu.jp/users/silvaration/news/16818093083794100988


今作を収録したオムニバス本編⇩

短編二人称ホラー小説『あなた』2

https://kakuyomu.jp/works/16818093075396259221


そしてその前作

短編二人称ホラー小説『あなた』1⇩

https://kakuyomu.jp/works/16817330668518608766

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二人称・短編ホラー『人撹者』【カクヨムコンテスト10短編用】 白銀比(シルヴァ・レイシオン) @silvaration

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