このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(198文字)
本作は幽霊談でも怪異談でもありません。所謂ヒトコワでもありません。ただ事実だけが語られています。そこから想像を巡らせて、恐怖を感じるかどうかは、あなた次第です。
事故物件なんて、一々気にしたってしょうがない……この言葉は、ある意味正論だと思います。生命が発生して以来、我々はそれらの死の積もった上に生きているのですから。 ですが、事故物件なんて、本当に意味がない言葉なのでしょうか? ならば何故、私達はその言葉に怯えるのでしょう? その答えの一つは、この話にあるかもしれません。「事故物件」ではなく、『次故物件』……タイトルの意味に震えて下さい。
不条理や無慈悲な怖さじゃなく理屈のある恐怖は初めてでした様々な人の理屈が噛み合わさり、もたされる恐怖回避することも出来るかもしれないけど、いつどのように関わるかも分からない知識としても、知るために読むべきかもしれません
幽霊やモンスターが出てこなくても、怖いものは怖い。詳細な場面説明がなくても、怖いものは怖い。知らないから、怖い。わからないから、怖い。これは、人間のそんな心理を巧みに突いた作品です。タイトルが「事故物件」ではなく「次故物件」。文字通り意味を汲むと……背筋が寒くなります。