因習、怪異の濡れた質感と考証・検証を伴うソリッド系ホラーの『怪作』

謎の樹木、語られる儀式、古からの因縁……湿度の高いホラー要素に加え、そこへ軽々しく足を踏み入れる若者たちの注意のなさと人間模様。

本作はホラーとして押さえておきたい軸に加え、いわゆるリングシリーズ、『らせん』のような怪異に対して検証、考察するソリッドな視点も持ち合わせるようである。

現代的配信者たちの人間模様が連鎖するホラーパートの合間に挟まる、謎の樹木、儀式についての考察的アプローチも、正体不明で襲い来る怪異の怖さとは別軸の、実感を伴った恐怖を纏う。

完結前のレビューで恐縮ではありますが、ぬめっとした不気味さとひんやりとした金属のような質感の恐ろしさ。二軸で襲い来る奇譚にこれからも注目です。

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