淡々と、だがじりじりと。確実に近づいて来る謎と答え

  • ★★★ Excellent!!!

 スタイルとしては安楽椅子探偵といった感じの雰囲気です。主人公は真直は引きこもりのハッカーという事で、部屋から一歩も出ません。
 だけどこの現代、インターネットという大海が存在しており、彼はパソコンを扉として広い世界に出ているので、完全な引きこもりとは言えないのかもしれません。

 お話は解散したはずのカルト教団の復活からはじまります。罪を告白すれば救済されるという教義は、誰しもが持つ罪の意識を刺激して、それから逃れるために入信する信者も多かった模様。それを若い好奇心と青い正義感で彼は解散させ、教祖を自殺に追い込んでしまった。この過去は彼の心に棘となっていたようですが、教団が復活したことにより疼きだしてしまう……。

 その過去に決着をつけるため、己の罪と向き合いながらもネットを駆使して教団の復活の謎に挑む。

 主人公が知る事と読者が知る事は同時進行なので、謎に迫っていく臨場感は実際にありうる出来事というリアリティも相まって、とても面白いです。

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