第4話
翌朝、私は友人の
「それ、本当にヤバいやつじゃん!」
華は目を見開きながら鏡を指差した。
「でもさ、そんな変なもの、どうして捨てないの?捨てちゃえばいいのに。」
「怖いけど……でも、何か分からないまま捨てるのも、なんかモヤっとして嫌だし。」
華は呆れたように溜息をつきながらも、私のわがままに付き合ってくれるみたいで、なんだか嬉しかった。
「じゃあ一緒に試してみようよ。何か見えるかもしれないし。」
その夜、二人で鏡の前に座った。部屋の明かりを落とし、懐中電灯だけがかすかな光を放つ。
最初はただの鏡だった。私達の姿が映るだけで、特に異変はない。
だけど、深夜に近づくにつれ、鏡の表面が微かに揺れ始めた。
「これって……普通じゃないよね?」
華が静かにつぶやく。
私は念の為に護符を取り出し、鏡の前に掲げた。その瞬間、鏡の中の景色が変わった。
映し出されているのは私が忘れたはずの記憶。
廊下になにかが壊れる音が響き渡る。誰かと激しく口論する自分の姿。
そして――真っ白な床に広がる赤いシミ。
私は訳が分からず、気づけば叫んでいた。
「これ……こんなの違う、私、私はこんなこと知らない!」
「
華も叫び声をあげている、でも…その声も遠く感じる。
鏡の中の景色はさらに鮮明になり、私はついに思い出してしまった――その「罪」を。
鏡は砕かれた。
だが、芽衣の胸に刻まれたものは、永遠に消えることはなかった。
*「あーあ。まだ助かる道はあったはずなのに…僕も、もうちょっと助けてあげるべきだったかな?みんなはどう思う?」*
芽衣の罪が何だったのか、それを知るのは彼女自身と、鏡の中に囚われたもう一人の「芽衣」だけだった。
鏡像〜もう1人の私〜 夢咲リベラ @Yumesaki_Ribera
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