膨大な知識量に裏打ちされた至高のサスペンス!

鏡堂と天宮のバディが、常識では考えられない事件に挑むサスペンスホラーの快作。

ホラーというカテゴリにあるだけあって、その「常識では考えられないナニカ」の正体は異能力なのですが、本作の大きな特徴としてその設定が緻密であることが挙げられます。
犠牲者たちの状況が摩訶不思議でありながら、科学でギリギリ説明できるというラインを突き詰めているんですね。
また異能(オカルト)面も実在の伝承から汲んでいます。その分情報量は凄まじくなるのですが、作者様の情報開示のテンポ・タイミングが巧いため、躓くことなく読みやすくなっております。
膨大な知識量に裏打ちされた至高のサスペンス。ハマること請け合いです。

また作中のキャラクターも魅力的です。主人公の2人はもちろん、前述した科学の知識を担う大学研究所の面々、オカルトの知識を担う占い師たちなど、なかなかに濃いキャラクターが沢山登場します。リケジョのスピンオフもあるんですってよ奥さん!!

事件にしても、単に異能者が暴れていてそれを倒すというような勧善懲悪ではなく、中には異能を得る経緯や、その行使の仕方に同情を禁じ得ない者もいます。そういった人間ドラマにも注目して読んでいただければと思います。

イチオシの作品です。ぜひご一読ください!

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