第5話



「あの人、入院したみたいだね」


「そりゃそうでしょ。ヤバかったもん」


「今回、ザックリ手首やっちゃったらしいよ。課長とカスミの前で」


「うわっマジヤバ。トラウマになりそう」


「リサもカスミも良く付き合ってあげてたよねー」


「だって仕方ないじゃん。離れようとしてもくっ付いて来ちゃうんだもん」


「いやーだって“リサちゃん”“ミカちゃん”って呼び合っちゃって結構仲良しだったじゃん」


「だってそう呼ばなきゃ不貞腐れてさー所構わず泣きわめくんだよ?マジないわー」


「泣きわめく!?ホントに!?」


「マジだってば。何が悲しくてあんなにも歳の離れた人を“ちゃん付け”で呼ばなきゃなんないのよ。違和感しかないわ」


「40代も後半でしょ?傍から見てる分には面白かったけどね」


「他人事だと思ってー」


「でもさ、あんな風な病気ホントにあるらしいよ。前にテレビで見た事あるもん」


「あー見た事あるかも。何か、好きな相手に愛されてると思い込んじゃうらしいねぇ」


「女って友達も彼氏もその歳までいないとなると、あんな風になっちゃうのかね」


「あの人は特別でしょー」


「何にしても怖いよねー」


「ホントにね。怖い怖い」

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箱庭の純愛 ひなの。 @hinanomaru

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