決して鳴ることのなかった天の鼓。それを鳴らした者とは?
- ★★★ Excellent!!!
亡霊が視える能力を持つ香月晴季。彼は、現代文の授業の時間に、とある女生徒の亡霊が視えていました。そんな時、彼の同居人である住之江吉彰から奇妙な話を聞くところからこの物語が始まります。
吉彰の教え子である日下一志という少年が告げた一言
「せんせい。ぼくは──ひとを、ころしました」
この一言は、この物語の重要な鍵を握っています。
三年前に花菖蒲公園で発見された白骨死体。
それは、日下一志の同級生である沢野宇月のものでしたが、彼女が死亡する少し前、彼女の友人である畑凪咲が溺死する事件が起きていて……
さて、この事件の犯人の正体とは?
流れるような筆致は、思わずため息の出るような美しさ! 卓越した表現力に圧倒されます。
途中で差し込まれてくる幾つかの物語や神話が、それぞれ彩り豊かな糸を撚り合わせるかのように、伏線回収とともに織り込まれ、大きな一つのストーリーとなっていき、事件の真相が浮かび上がってくる表現は正に圧巻!
読み応えのある本格的異能ミステリーです。
ミステリーのお好きな方にお勧め致します。