古代エジプトに咲く愛と陰謀の華

ネフェルウラーとトトメス3世という、異母兄妹でありながら夫婦という複雑な関係性の2人が物語の中心に据えられています。
無邪気で純粋なネフェルウラーと、冷静でありながら彼女に振り回されるトトメス3世の対照的なキャラクターは、読者を惹きつけます。

作者得意の愛憎劇は、本作でも存分に発揮されています。
本作もキャラクターたちの複雑な感情が丁寧に描かれており、それぞれの行動の動機が理解できるため、単なる善悪の物語に終わらない深みがあります。

『ファラオの寵妃』は、古代エジプトの権力闘争という骨太な背景の中に、純粋な愛と過酷な試練が織り込まれた愛憎劇です。
無邪気さと策略、愛と権力が絶妙に交錯する物語に、心を奪われること間違いありません。
歴史物が好きな方、濃密な人間ドラマを求める方に強くおすすめしたい一作です。

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